【ラノベ】蜘蛛ですが、なにか? 5巻 あらすじ・感想・ネタバレあり 発売日2017/2/10
読者のみなさま、ごきげんよー
同人サークル The sense of sightのBLACKGAMERです
最近、個人的に熱い異世界転生もの!
転生した先はまさかの『蜘蛛のモンスター!』
敵を罠にかけては喰らい尽くしていく、メンタル最強のヒロインに引き込まれました
だんだんと強くなっていく蜘蛛子の快進撃にハマってたらもう最新刊読了済みだよ…
というわけで、最新刊の感想になります
蜘蛛ですが、なにか? 5巻 あらすじ
-蜘蛛子、神に祭り上げられる!?-
マザーとの死闘を制し、次なる敵【魔王】との戦いへ向けて力を溜める日々。
だが強くなりすぎた「私」は人間たちの注目を嫌でも集めてしまう。
蜘蛛子と人間たちの道が交わる。
そして、とうとう出逢ってしまった、同じクラスからの転生者。
しかも吸血鬼でチートな貴族の娘!妬ましい!だが、彼女が盗賊に襲われるのを見過ごせず、「私」はつい助けてしまう。
子供の救助に、気紛れで村人を治癒したことが重なり、街では神と勘違いされ始めた。
とりま捧げ物の食べ物は美味いぜ!
だが、誘拐を企む賊を懲らしめたことで、この世界の第三勢力“エルフ”の逆鱗に触れてしまい…。
「私」も次なる進化形態へ突入して物語はネクストステージへ!
以下、ネタバレを含みますのでご注意ください
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蜘蛛は神獣だった!? 蜘蛛子さんの慈善活動
モンスターに転生して、モンスターとして生きてきた
モンスターを殺すことにためらいはないし、人を相手にしても忌避感がなくなっていた
この辺の倫理観が欠落していく流れも、転生モノの醍醐味ですよね
何がいけないことなのか、なぜそれをしないのか、それが現代の日本とずれてきて感覚がマヒしていく
もしかして、大迷宮を超えて人間世界に来たから殺戮ゲーの鬱展開が来るかなと思っていたら、まさかの慈善事業ですよ
いやあ、泣いて助けを請う村人を助けるなんて素敵じゃないですか
しかも、それでスキルが大幅強化されるあたりがまたいいですよね
ホント、この子は苦労の連続ばかりでも、『めげない』『しょげない』という、NHKの神獣、がんこちゃんに匹敵する前向きさがあるから、幸せになって欲しいと思うんですよね
表紙でも、リンゴっぽい果物を前に目を輝かせてるのがほんと可愛いですね
もうね、『ぱぁぁっ』っていう効果音というか擬音が見えそうなくらい
悪食じゃなく、美食家とかのスキルになるまで美味しい物食べてほしいです
蜘蛛子の正体判明! 転生前の名前は若葉姫色
伏線が、じわじわとつながっていく感覚は読んでいて楽しいですよね
蜘蛛子視点(過去)と勇者視点(現在?)で時系列が違うことなどは、ロナント老などを使ってほのめかされてきましたが、5巻でついに蜘蛛子の転生前の名前まで発覚しました
リアルホラー子で「リホ子」なんて名前があったから、そっちかなーと思ってたんですが、やっぱりフェイクでしたね
そして、魔王がいたから蜘蛛子の魔王までの出世街道を描くのかと思ったらそれも違ってました
「リホ子」は「転生前:根岸彰子」で「ソフィア・ケレン」
「蜘蛛子」は「転生前:若葉姫色」で「白」でした
地竜であるフェイ(漆原美麗)と因縁浅からぬ仲である、若葉姫色
でも、蜘蛛子の中身を知れば知るほど、可哀想になりますよね
蜘蛛子に告白とか、コミュニケーション的に困るだけで、いいこと何にもないだろうし…
蜘蛛子はホント、巻き込まれ系の被害者が似合うな
うん、褒め言葉にはなってませんけどね
しかし、嫌がらせを受けているのに、「女子のイジメとしては可愛いほう」なんて言っちゃうあたりが素敵女子ですね
どんだけメンタル強いんだよ…っていう、まさにオリハルコンなメンタルが素晴らしいです
しかし、本人はこれだけ面白おかしい性格なのに他人とのコミュニケーションが死ぬほど苦手ってのが、また深いですよね
脳内会話だったり、並列な自分となら気兼ねなく笑いながらやりとりできる
なのに、相手が他人になった瞬間にぎこちなくなってしまう
そして、相手の強さなんて関係なく、「他者とのコミュニケーション」が苦手になっているあたりも興味深かったです
だって、相手は人間で吹けば飛ぶ存在ですよ
一撃で数百と殺せるほどの力量差のある相手です
人間よりも遥かに強くなったけれど、それでも、コミュニケーションが恐いと思う
自分の言葉を押し付けるだけじゃコミュニケーションにならないのが分かってる感じですかね
お互いのやりとりになると、肉体的な強さじゃないと理解しているあたり、本当にコミュニケーションを真剣に考えて、それで苦手なんだなーと思えました
しかし…「いい天気ですね」と言った後に無言、のくだりがまたツボでした
逆に一年以上の間コミュニケーションを取っていなかったから、余計にコミュ力のスキルが落ちてるのかもしれないですね
白となってからも基本的には無言なようなので、そのあたりの根っこは変わらないのかな
一巻の転生前のシーン
いろいろ発覚したあとで冒頭を読み直すと、発見があって面白いですね
ハゲさんと呼ばれるMMORPGの紙装甲でスピード特化のとがったキャラを操るのは、実はコミュ障な美少女とか、もう最高じゃないでしょうか
そこから韋駄天が入ってくるあたりも含めて、きちんと伏線が散らばってるのが楽しいです
勇者側と魔王側の価値観の違いが面白い
視点として勇者側と魔王側の二種類に分かれてますが、その違いもきちんと書き分けられているのが楽しいですね
よく言われる分かれ道の中で、『慢心、環境の違い』というセリフがありますが、今回は本当に環境の違いがよく出ていますね
生きることに必死だった魔王側の方が、より強く、よりドライになっていく
今回でお互いに戦うことになったからこそ、その違いが感じられて面白いですね
「そこで首とかの急所を狙わないって、甘すぎない?」
一番好きなのはソフィアのこの言葉ですが、それ以外の部分でも透けて見えますよね
勝てるか勝てないかを考えるべきところで、誰が手を汚すかにこだわり、勝敗よりも一対一にこだわったりしている
そのあたりの温(ぬる)さを見ると、育ってきた環境の違いというのは本当に大きいのだなと感じます
そんな思考をしているようじゃ、絶対に叶わない
そう思わせてくれるぐらいにお互いの差が明確で、だからこそ、生きてきた経緯が見えて面白かったです
しかし、圧倒的じゃないか、我が軍は…と言わんばかりの魔王側をどうするんですかね
絶望感をくれるのは最高ですが、直接対決にしないにしても、これじゃ勝負にならないだろうに…
勇者のスキルと言っていましたが、それが魔王に特攻だったにしても、自力に差がありすぎたら無理なんじゃないかな…と
だって、地竜のステータスを見る限り、これも瞬殺出来ない勇者と戦う時点で、即死確定ですよね
その後に出てきた機械仕掛けも含め、そろそろ禁忌の内容も明かされるだろうし、どうなっていくのか、次巻を楽しみに待ちたいと思います